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自然と繋がる中山間部の住まい

森縁の家

山林と宅地の境界にあり4m の高低差を持つ中山間部の敷地において、斜面地の課題を克服しながら、自然と繋がる生活を立ちあげることが課題であった。その課題に対して、建築とランドスケープを一体のものとして考え、土木的造成を最小限に抑えながら地形に沿って立地する住宅を計画した。グラウンドレベルから上段の高台までの高低差を、自然の地形に合わせて設定された4 層の床レベルによって繋げていく断面構成となっている。傾斜した敷地を利用して躯体の一部を地中に埋め、屋根を敷地斜面に沿って架けることで、現存する森林景観を壊さずに自然な佇まいを目指した。
計画地は那珂川市を流れ博多湾に注ぐ那珂川上流に広がる準都市計画区域に属し、川と山に挟まれた風光明媚な里山地域であるが、敷地はグラウンドレベルから連山を望むことはできない環境であった。施主である夫妻が豊かな自然が楽しめる土地を探してたどり着いたこの場所で、この場所が持つポテンシャルを引き出す建築手法を検討した結果、4 段のひな壇状のRC 躯体の上に木造軸組を載せた斜めに上る空間構成となった。那珂川やその先に連なる城山・矢岳を望める高さで決定された床レベルを最上段として、平地にある庭や畑とのアクセスのよい最下段まで、高さごとに異なる景観を計画している。
平面計画は、断面のレベル差に合わせて3.5 間ごとに分節し、3 つの坪庭状の屋外空間を挿入することで高木に囲まれた環境の中での日照を確保し、同時にプライベート化された小さな自然を住空間に取り込んでいる。このような中間領域を設けることで低層部のプライバシー性を確保するとともに、時に厳しい山間の風雨を抑制し、施主夫妻のような移住者が安心して自然に親しめるよう配慮した。方位や標高ごとに異なる山あいの場所性を住空間に取り込むことで、市街地との人口格差が広がる中山間部の住まいを提案し、地域づくりに寄与することができないかと考えた。

2022年 九州建築選2022 第16回建築九州賞奨励作品

Purpose / 住宅 Site / 那珂川市 Year / 2022 Photo / Y. Harigane

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